現在地

梅田リデザイン・ワークショップ|第2回目|開催レポート

2015年10月28日

2015 年10月3日(土)・10日(土)の計2回、今年も『梅田リデザイン・フィールドワーク講座』を開催しました。

これは会議室内での活動が中心であった梅田MAGセミナーの新しいスタイルとして昨年度からフィールドワークを取り入れたもので、実際に歩いて・触れて・考える、体験型ワークショップの講座です。

「社会的弱者の視点から見た梅田の街」をテーマにした昨年に続き、今回は「外国人から見た梅田の街」をテーマに、インバウンド的視点を取り入れて実施しました。

講師には、昨年同様、国立大学法人京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科/デザイン経営工学部門の久保雅義教授と、今回特別講師(第1回)として、「インクルーシブデザイン(※)」に関する第一人者のジュリア・カセム氏(京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab. 特任教授)をお招きしました。

※インクルーシブデザインとは・・・
障がいや年齢に限らず、これまで除外されがちであった「特別なニーズをもつ人・社会」を対象に、企画・開発の初期段階から巻き込んで(Include)一緒に考えていく手法

第1回|2015 年10月3日(土)

第1回は、「インクルーシブデザインとまちづくり」というテーマで、ジュリア・カセム先生によるレクチャーがありました。

まずは、インクルーシブデザインとは何か?という基本に始まり、まちづくりの考え方、事例研究について説明して頂きました。

デザイン業界では、完全分業制であった旧来の考え方から、デザイナーはものづくりの全てのプロセスに深く関わるという考え方に変わってきていることや(リレー走者(分業)からボートレース選手(協業)という例え)、情報デザインにおいてはシンプルさが重要であることも強調されました。

なお今回は「特別講義やディスカッションを全て英語で行う」というサプライズ(?)もありました。
言語という壁がある中でコミュニケーションを取ってもらうという意図の元ですが、カセム先生の分かり易い説明とスライドで、英語に自信の無い事務局も何とかついて行くことができたように思います。
但し、質疑等は日本語も可能でした。

特別講義の後は、一般参加者+留学生+日本人学生(サポート)という編成で5チームに分かれ、フィールドワークを実施しました。
駅周辺や百貨店、量販店など日常利用する施設(行き先はチーム毎に指定)について、外国人の視点から検証すべく、留学生随行のもと(日本に来て間もない方を中心に選定頂きました)、1時間半ほど梅田の街を歩いてもらい、記録写真・メモなどを次回に持ち寄ることとしました。
 

第2回|2015年10月10日(土)

久保先生から本日のグループワークの進め方について説明を受けた後、前回(10/3)の結果と、各自が撮影した写真や気づいた内容・考えてきたことを持ち寄って、チーム毎に議論し、問題点と解決案を取りまとめ、10分ずつ発表して頂きました。

各グループ毎に対象エリアは違いますが、提案内容からは共通事項として次の様な事が挙げられたように思います。

  1. 非言語サインの活用 多言語表記だけでは限界があるので、サインには番号、ピクトグラム、色など、言語に頼らない方法を活用する。
    また、外国語対応についてはお店によっても考え方が違い統一は難しいが、商品タグに番号を用いるなど、簡単なコミュニケーションで買い物が出来る仕組みも有効。 一方で、日本の店舗(特にレストラン)は写真に頼り過ぎており、これではどんな味で(辛いものなのか、甘いものなのか)、どの国のテイスト(日本食?アジア食?洋食?)かが分からない。 少しで良いので手がかりとなり説明コメントを入れて欲しいとの意見もあった。
  2. 情報の簡素化 一つの面に全ての情報を網羅することは、受け手を混乱させるだけで、結局のところ必要な情報が届かない恐れがある。 届けるべき情報を絞り込み、メリハリを付ける(強調する情報は文字サイズを大きくする等)ことで、発信する情報に階層性を持たせる。 また、英語併記の有無や使用するピクトグラム・色に統一性(Integration)を持たせることも効果的。

最後に

限られた時間ではありましたが、参加者による活発な議論・意見交換が行われ、各チームともに、問題点や具体的な実施案のプレゼンまで無事に至りました。
また、情報を発信する立場からは丁寧な記載を心がけたものが逆に分かりにくくなってしまい、インバウンド的視点からは裏目に出ているケースもあるという指摘もありました。

今回、学生の比率が高かったため、もう少し社会人の方にも多く参加頂き、その中に学生・留学生が適度に加わる事で多様な立場からの意見交換の場を目指し、「ここちよい梅田」について考える機会を継続的に作っていきたいと思います。