中西先生「戦略経営デザイン論講座」第16回目 受講レポート(2)
2012年12月18日(火)、第16回戦略経営デザイン論講座が開催されました。
受講生の荒井さんより、レポートが届きました!
- 作成者:
- 荒井 庸行(建設業)
いよいよ先生の講義もラスト前です。今回はINAXの事例紹介の前篇でした。
INAXは核拡デザイン「6つのデザイン」
- 方針・政策
- 表現・表象
- 新事業・事業領域
- 理念・企業存立
- 公共的・社会的価値
- 文化的・環境的価値
の全ての軸について実践した唯一の事例とのことでした。
5,公共的・社会的価値のデザインについてはINAX以外どの企業も実践していない点も興味深いところです。
伊奈製陶のCIプロジェクトは1983年にスタートして、7つの主要軸、
- 社名変更
- VISの導入
- 理念開発
- 体質改善
- 環境デザイン
- 新規事業開発
- 文化戦略
に沿って進められました。
まず課題として以下の5つがあげられました。
- 企業理念「良品、共栄、至誠、奉仕」が形骸化している。
- ナショナルブランドとローカル体質のギャップが大きい。
- 製品化力はあるが商品化力に乏しい。
- 強力なイメージ的シンボルがない。
- コミュニケーション受け手(お客様)発想がない。
『1,社名変更』と『2,VIS』については「INAを残す」、「呼びやすさ」、「意味訴求→感性訴求」などを意識し、「INAS」と「INAX」の最終候補より「INAX」に決定しました。
『3,理念開発』については、2年数か月をかけて83回のヒヤリングを通して全員と話をして、以下の「INAX5」という新たな理念を打ち出しました。
- X1:INAXは私たちが仕事を通して社会に貢献し生き甲斐を見出す生活舞台です。
- X2:環境美(都市美、生活美、企業美)を創造し提供します。
- X3:お客様の新の満足を考え行動します。
- X4:変化し挑戦します。
- X5:世界に求められる存在になります。
『4,体質改善』については 伊奈三輝社長のインタビューのTV番組映像を通して、「遊び心」、「トイレを日向者に」をキーワードに、トイレシェア80%のTOTOに挑むINAXの戦略が語られておりました。
INAXの行ったトイレに対する社会的な意識改革がトイレの市場規模を3倍に拡大させて、競合であるTOTOにとってもベネフィットをもたらしている点が重要で、TOTOの社長も「お見事!」と賞賛したとのことです。
講義の概要は以上の通りですが、質疑のコーナーで興味深いコメントがありました。
- 説明する相手(経営者)との食い違いを埋めるのは一方的でないこと。
- 意思決定者に対しては確信を持った言い切型の説明の方が通りやすい。
- プレゼの途中においても説明する全体像を常に聞き手と共有できる手法を選択すること。
次回の最終講義でINAXの事例紹介の後篇を通して、「文化戦略」、「公共的・社会的デザイン」の評価軸について是非習得したいと思います。
以 上