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中西先生「戦略経営デザイン論講座」第15回目 受講レポート(1)

2012年12月4日

2012年12月4日(火)、第15回戦略経営デザイン論講座が開催されました。
受講生の乾さんより、レポートが届きました!

作成者:
乾 豊延(建設業)

2012年12月4日(火)に「戦略経営デザイン論講座」第15回目「企業と文化」が開催されました。

メインは、ベネッセ(旧・福武書店)の2度にわたるCIの取り組み事例紹介でしたが、その前に、中西先生が38年前に執筆された「試論 企業の文化戦略」の解説がありました。

「試論 企業の文化戦略」は、中西先生が「中央公論 経営問題特集」(1974年)に寄稿されたもので、現在においても先進的で示唆に富む内容であるが、当時はオイルショックに直面し、高度経済成長が終焉を迎えつつある時期にあたり、どこからも何の反応も得られなかったそうです。

内容は、

  1. 物質的な充足が達成された現在、ライフスタイルやソーシャルトレンドが物事の価値や方向を決めるようになり、サイコグラフィックな尺度によって企業やそこで働く人達が計られる。
  2. よって、企業はいかに多く「感じさせる企業」であるかが企業イメージづくりの第一歩となる。
    個々のプロダクツだけではなく、企業そのものがアセスメントを受けるコーポレートアセスメント時代が始まろうとしている。
  3. それ故、これからの企業は、生産機関、販売機関の枠を超えて、文化機関としての役割も果たすよう取り組むべきである。

そして、その先駆的な事例として、イタリアの企業「Olivetti」の取り組みが紹介されています。

次に、ベネッセ(旧・福武書店)ですが、中西先生との接点は創業者・福武哲彦氏の訪問に始まります。
哲彦氏は以前に倒産経験があり、「絶対に福武書店を倒産させたくない」また「一介の受験産業地方企業で終わりたくない」という強い想いから、中西先生に依頼するに至ったそうです。

第1次CIでは、21世紀の「福武像」とコミュニケーション戦略として、福武書店の事業拡大チャート(現未来~近未来~遠未来、中心の現業~拡本業~越(脱)本業の2軸)の作成、 “国際化・情報化・文化化”という目標の提案がなされました。
また、創業者の急逝を受けて誕生した二代目社長による第2次CIでは、“次の時代の会社を目指す”として、人間讃歌をはじめ、福武書店固有の企業文化の構築を目指しました。
その取り組みは、後に社名となるフィロソフィブランド“Benesse”(今日も驚くほど生きる)の開発に至りました。

講義の概要は以上の通りですが、中西先生が講義の中で語られた次のようなコメントが豊富な経験に裏打ちされた、他では聞けない真理だと思われ、今後実務を取り組む上で肝に銘じていきたいと思います。

  • ボリュームゾーンの意見が考え方の中心になりやすいが、危険である。
    少数意見に注意を払っていく必要がある。
  • 要素還元主義は分析手法として有効であるが、要素間の関係性の分析なくしては次の戦略立案には至らない。
  • どう伝えるか以上に、伝えるに足るものをどう創っていくかを考える方がはるかに重要。
  • 現状の技術水準をもとに考えがちであるが、技術は発展すること考慮に入れて考えないと失敗することがある。

以 上