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中西先生「戦略経営デザイン論講座」第9回目 受講レポート(1)

2012年9月25日

9月に入り、戦略経営デザイン論講座も後期に突入しました。
後期からは受講生の方に講義レポートを書いていただくことになりました。
梅田MAG事務局に届いた講義レポートを掲載します。

作成者:
伏見大祐(メーカー)

2012年9月25日(火)に、「戦略経営デザイン論講座」の第9回目講義が開催されました。

第9回目の講義は8月2日に行われた前期課題の発表会後およそ2カ月ぶりの講義となりました。
前回の講義から期間が空いたこともあり、今回の講義内容は前期で学んだ代表的な考え方の確認でした。

◆作家作品主義
産業革命に端を発する「デザイン」が美大・芸大で学ぶことになってしまったことにより、一品性の価値を追い求めることになってしまった。
私は芸大で工業デザインを学びましたが、そのプロセス自体がデザインであり、それはデザイナーだけのものではないと感じています。量的幸福価値の追求することがそもそものデザインの個性である。
◆賢者は歴史に学び愚者は経験に学ぶ
歴史と経験。「昔はこうだったから〜」とよく話を聞きます。何か新しいことを生み出そうとする際の歴史と経験の意味の違いを意識しておくことが大事なのだと感じます。

現代はモデルがなくなった時→「独自の国づくり」が必要→日本人自体の教育が必要=前期テーマ「日本人の常識」

◆デザインの役割の広がり
作品のデザイン→事業・企業のデザイン→生活・社会のデザイン
デザインの役割は単純なものづくり(デザイナー)を超えて社会まで広がる(デザイニスト)
一般に思われている「デザイン」を超えて「デザイン」を使う人材がこれからは必要である。
◆経営資源&マーケティングマネジメント
  • 体力(人・モノ・金・情報)だけがあっても広がらない。
  • 知力(創造力・洞察力・開発力)はなくてはならない。企業でもっと評価されるべき力であると思う。
  • 魅力(表現力・演出力・伝達力)違いがわからなければ伝わらない。

高度情報化時代では逆説的に情報価値からさかのぼっていく開発が必要。
モノだけ作っても伝わらないし、伝わらないモノを作っても売れない時代であると感じる。

◆川上から川戸
客と共に創る。育つ。C to C、C to B が起こる時代であり、
いくつもの答えがある最適解時代である。情報発信力が大事になってくる。
◆組織
年功序列 →マトリクス・整理型 →プロジェクト・チーム性へ
一人が複数の上司を持つ時代。人の機能で編成分けを行う。
◆市場のメカニズム
量的価値・ナンバーワン(生産・経済)→存在価値・オンリーワン(環境・人間・文化)へ
◆自分自身のデザイン
表現や表象をデザインする前に自分自身をデザインする。
[読み/書き/そろばんそしてデザイン][知力+体力+感性力]
「人も企業も思わないことは実現しない」
どう思い、どう発信するか。その感性力はデザインが担う部分。

胆識に突き詰める。ひらめきを得るには「欲識を常に持って生きる」こと

How to よりもWhy to  仮説を立てて切り開いていく。

◆イメージマーケティング(情報価値先導経営)
イメージが時代の半歩か一歩先を行き「実体」が追いかけていくる状況がベスト。
心の目で見ること。ブリヂストンのCIの例。F1コースに使用できること。

自分(社)を主役に⇔他者(社)を脇役に

◆放送大学での紺野登先生の授業 <デザインの経済効果>
「デザイン」の移り変わり
  • 1,コスメティックなデザイン
  • 2,意味のあるカタチのデザイン
  • 3,経験のデザイン

開発段階でのデザイン作用

  • 新しい価値の発見
  • 視覚化・形態化(プロトタイプ)
  • 関係性の創出

マーク(デザイン)は思想の凝縮である。プロセス・思想がないと良くならない。
価値があるものには審美的・心理的、内的参加が起こる。

量的幸福価値の「デザイン」を誤解された一品性の作家的「デザイン」と思われている状況のなか、紺野先生のデザインの機能を分解して説明された内容はわかりやすかった。
「デザイン」を外装やデコレーションという意味で解釈している現状況をどう変化させていき、デザイン作用によって人・企業をどう変えていくのか。これからの課題であると改めて感じた。