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中西先生「戦略経営デザイン論講座」第6回開催しました!

2012年6月21日

2012年6月14日(火)に、「戦略経営デザイン論講座」の第6回目講義が開催されました。

今回は、第5回目に続き、松屋銀座の事例についてお話しくださいました。
中西先生は、INAXのCIも手がけておられますが、そのINAXと組み、松屋銀座のリニューアルも手がけられました。
(INAXのことは、本講座の別の回にあらためて詳しいケーススタディをお話しいただくこと予定です。)
どのようなリニューアルだったかというと、売り場の改善ではなく、お店の真ん中に女性用のトイレを設置するという「トイレ」のリニューアルでした。
今でこそ、女性用トイレに大きな鏡やイスが配備されたパウダールームも珍しくありませんが、当時は売り場の面積を広げることが最優先された時代で、当時としては斬新なアイデアだったのではないでしょうか。

女性用トイレをリニューアルしたことがきっかけで、銀座のOLが、ランチの後やデート前の化粧直しに銀座松屋に立ち寄ることが流行となり、トイレの後に買い物をする女性客も増え、結果的に百貨店の業績改善に貢献されました。
まさに顧客第一主義ではなく、集客第一主義を実践されたからこそ、生まれた提案だと思います。

また、この事例をきっかけに、他の百貨店や公衆トイレもきれいになったそうです。
社会を変えるほどの事例となったわけですが、中西先生が他の百貨店にも提案されたわけではありませんでした。

中西先生は、1業種1社に限定して経営戦略を練られているとのこと。
それは何故かというと、「戦略経営デザイン」という仕事は、企業の新しい個性を作る仕事であり、そのためには、いい部分だけでなく、即ちそれはマイナスのイメージを出さないことが必要となります。
深い部分までヒヤリングして、いい面も悪い面も全て理解した上で、いいイメージを打ち出すための戦略を練る必要があるわけです。
ひとつの成功事例を元に、同業他社から引き合いがあったり、逆に営業したりすることはよくある方法だと思います。
しかし、本当にいい仕事をするためにも1業種1社に絞った展開が必要なのだとのことでした。

通常はここで講義は終了なのですが、本日は特別講義として、ボーナススピーチが開催されました。
ボーナススピーチとは、戦略経営デザインを実践されている企業の方をお招きしてお話しを頂くもので、今回は、「甲南グループ 小林社長」をお招きいたしました。

甲南グループは、関西を中心に、「甲南チケット」や「私のお針箱」といった店舗を展開されている企業です。
現在は、それぞれの事業ブランドも確立され、高利益率の特性を生かした企業経営をされていますが、今の形を作るまでには、さまざまな試行錯誤があったそうです。

百貨店のテナントして店舗展開をされていた時は、百貨店側の条件にあわせた事業展開をする必要があったといいます。
しかし、自社のブランドをしっかり構築してからは、今まではお願いする側だった立場から、百貨店の方から出店を要請されるようになるなど、立場が逆転します。

そして、百貨店の下請けから、第二創業期には、職人さんを使った「私のお針箱」というリフォーム事業を展開されます。
スタート当初は、労働集客的な事業だったため、苦労された面も多かったそうですが、試行錯誤を重ねた結果、技術面でお客様の接客を担当する「職人さん」と、お店の経営面を小林社長側が担うことで、理想的なパートナーシップを築きあげることができたといいます。

現在、第三創業期として展開されているのが、不動産事業で、今度は「人」ではなく、不動産という「物」が収益を生んでくれるビジネスモデルを展開されています。

甲南チケットは、300万円の資本金から、200億円を超える売上をあげるなど、常に順風満帆な展開をされてきたように見えますが、小林社長は、「いつまでも商売は続かない」という危機感を常に持ち、時流を見据えた判断を心がけておられるのだそうです。

経営者として、日々の仕事は常に判断がつきまとうのだとおっしゃっていました。
「商売は資本を何%で運用できるかということが大切だ」という経営者としてのシビアな面と、「道徳に反することはせず、情熱を持って取り組むことが大切だ」というロマンあふれる面、その2つを常に意識して、瞬時に判断を下しているのだとお話しくださいました。

「戦略経営デザイン」 をどのように経営に活かしておられるのか、経験に基づく実践的なお話しを聞かせていただくことができ、受講生からは、「もっとじっくり話しが聞きたかった」という声がたくさん聞かれるほど、充実した時間を共有させていただくことができました。

次回の「梅田MAG−戦略経営デザイン論講座」は、2012年7月10日(火)に開催されます。